遺言があるのに相続でもめてしまうのは、なぜ?
9月11日(木)に「さいたま一日合同行政相談所」が浦和コルソ7階ホールで開催されました。
さいたま一日合同行政相談所(以下「一日合同行政相談所」という。)は、総務省関東管区行政評価局が主催する行政相談で、さいたま市とその近隣にお住いの方を対象に毎年一回開催されており、相続、税金、年金、法律問題その他の困り事について、弁護士などの専門家が無料で相談に応じています。
参加機関は、法務局、労働局、埼玉県、さいたま市、年金事務所、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、公証人、行政相談委員、関東管区行政評価局です。
このうち、法務局、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、公証人は当日の予約が満杯でした。
例年、関東管区行政評価局から埼玉県行政書士会に相談員の派遣依頼があり、浦和区を管轄する浦和支部から相談員1名を派遣することになっています。私は、令和5年に続いて浦和支部からの推薦を受け、相談員として参加してきました。相談内容としては、前回と同様に遺言、相続、成年後見に関する相談が多数を占め、民事信託の相談も1件ありました。
その中でも、今回は遺言のある相続の相談が目立ちました。遺言のある相続では、主に遺言執行と遺留分が問題となりますが、よく問題となるケースには次の3つがあります。
①自筆証書遺言は、検認済みであっても遺言内容が不十分な場合が多いため、別途遺産分割協議が必要になる。
②遺言執行者が指定されていないため、遺産の名義変更や解約手続きに支障が生じる。
③遺留分を考慮していないため、遺留分の算定で折り合いがつかずにトラブルになる。
今回の相談も概ね上記3つのケースに当てはまっていましたが、せっかく遺言書を作成したのにもったいないなと思います。
遺言書を作成する際は、上記3つのケースに当てはまらないようにするだけで、無用なトラブルをかなり防ぐことができます。既に相続が開始した状態では、できることが限られてしまいますので「生前に相談に来てくれたらよかったのに…」と残念に思います。
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